A5ランクは、一番美味しいお肉なのか?
そもそも牛肉のランク付けとは何なのか?
《目次》
★ | A5ランクの牛肉は、一番高級で美味しいお肉なのか? |
★ | A、B、Cのアルファベットの等級は、何を意味するのか? |
★ | 1、2、3の数字の等級は、何を意味するのか? |
★ | 美味しい牛肉の選び方とは? |
★A5ランクの牛肉は、一番高級で美味しいお肉なのか?
飲食店や精肉店でよく見かける「A5ランク」「A4ランク」といった牛肉のランク表記は、具体的には何を意味するものなのでしょうか?
このランクは「日本食肉格付協会(JMGA)」が審査をして決めているもので、牛肉を正当な価格で流通させるために導入されたものです。
「A、B、C」のアルファベットと「5、4、3、2、1」の数字を組み合わせた計15段階で評価され、最も上のランクはA5であり、最も下のランクはC1ということになります。
「A5ランクの黒毛和牛」などといった宣伝文句をよく耳にするため、「A5ランクのお肉が一番高級で美味しいのでは?」といった考えで商品を選んでいる方も多いのではと思います。
確かにA5ランクの牛肉には良質の霜降りが乗っていて味わい深さが感じられますが、最近注目を浴びている赤身肉のほとんどはA2やA3ランクであり、多くの肉マニアの方々が美味しいと言ってそのランクの肉を食べています。どうやら牛肉の格付けは、美味しさの度合いを示すものではないようです。それでは一体どのような意味を表すのでしょうか?
★アルファベットの部分は「歩留等級」を表す。
牛肉の格付の「A、B、C」のアルファベット部分は、「歩留等級(ふどまりとうきゅう)」を表しています。
歩留とは、食肉として利用できる赤身の部分が一本の枝肉からどれぐらいの量を取れるのかを示したものです。枝肉とは、牛1頭から頭・皮・足・内臓などを取り除いた物で、その形が木の枝に似ていることからそのように呼ばれています。
歩留基準値は計算式によって出され、その数値を基に「A、B、C」の3つに分けられます。歩留基準値が72以上ならば「A」、69~72未満なら「B」、69未満なら「C」となります。この数値はあくまでも、可食部分の赤身がどれぐらい取れるのかの度合いを示すものなので、BやCだからといって品質が悪いわけではありません。
★数字の部分は「肉質等級」を表す。
次に「5、4、3、2、1」の数字の部分ですが、これは「肉質等級」を表しています。肉質等級は「脂肪交雑(サシの入り具合)」「肉の色沢」「肉の締まり・きめの具合」「脂肪の色沢」の4項目によって判断し、総合的な判定結果を5段階で表しています。肉質等級は数値で判断されるものではなく、検査する人が目で見て決定しているものなので、美味しさの度合いを表すものではありません。
★美味しいお肉なのかどうかは、個人が判断するもの。
以上のことから総じていえるのは、最高級といわれるA5ランクの牛肉は「美しい霜降り(サシ)が入っていて、赤身部分のツヤも良くて美しい」ということになりますが、「一番美味しいお肉」という意味にはなりません。
格付けランクが低い牛肉は、サシの量がA5ランクよりも少ないため高級牛肉として評価されにくくなりますが、決して風味がA5ランクより劣っているわけではありません。人それぞれ味覚が違っていて、肉の好みも違っているため、牛肉のランクはあくまでも、肉選びの一つの目安だと考えるのがよいと思います。
試しに様々な種類の牛肉を食べ比べてみて、ご自分にあった味を探してみてはいかがでしょうか。確かに霜降り肉は味わい深いですが、ランクにこだわらずにそれ以外の牛肉も食べてみることで、新しい発見が得られるでしょう。味の違いが分かるようになれば、「サシのまろやかさを楽しむより、肉の濃厚さを味わいたいから、今回はあえてA3ランクのお肉を買ってみよう」などといった判断をすることができ、よりお肉を楽しめるようになると思います。
肉山秋田オンラインショップでは、様々な種類のAランクのお肉を取り揃えております。ぜひお試しいただければと思います。
【筆者紹介】
古屋 宰(ふるや つかさ)
肉山秋田オンラインショップを運営する、株式会社BaseLIneの代表。
赤身肉の聖地・総本山と言われる吉祥寺の飲食店『肉山』の光山英明社長と出会ったことをきっかけに、赤身肉の素晴らしさに目覚めて、秋田県横手市に『肉山秋田』を開業。
飲食店やネットショップの経営を通じて秋田の畜産と深く関わった活動を続けており、黒毛和牛、秋田牛、短角牛など、自然豊かな秋田の地で飼育された“お肉”の素晴らしさを多くの人に伝えたいという思いを胸に、日々研鑽を重ねている。